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それが愛というもの

by Tomoko Ishida

祖父の肩にもたれ、ひとしきり泣いた後、「お祖父さん、俺はとても悪い子なんだよ」と胸にたまったものを打ち明けた。
どうしても母と上手くやれないこと。
上級生に誘われて薬物を口にしたこと。
今も心の奥底で父の行動が納得できず、恨みがましい気持ちを抱き続けていること。
その為にずっと罪悪感に苛まれていること。
祖父は黙って彼の話に耳を傾けていたが、
だとしても、グンターはそれを許せる人間だ。それが愛というものだよ
と静かな口調で答えた。
「グンターはわたしの自慢の息子だった。幼い時から真っ直ぐで、思慮深く、時に優柔ではあったが、卑怯者だったことは一度もない。きっと、あの晩もぎりぎりまで迷っただろう。君やお母さんと一緒に逃げたいと願ったはずだ。だが、最後には堤防を守りに戻った。なぜか? それがグンター・フォーゲルという人間だからだよ。理屈ではなく、そういう魂に生まれついた。きっと何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶだろう。だから君も父親を信じなさい。それだけが君を正しい方向へ導く」

海洋小説『曙光』MORGENROOD(上巻)


Tomoko Ishida
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