LOG IN

一本の苗木と故郷の復興

by Tomoko Ishida

苗木を一本植えるのもかなりの労力で、二平方キロメートルの森を完全に蘇らせようと思ったら、何年、何十年かかるか知れない。それでもこの一本が次世代の森林を作る。今日何もしなかったら、荒れ地は永久に荒れ地のままだ。地味な作業だが、復興とはこうした努力の積み重ねを言うのだろう。
自分たちも祖先が何十年とかけて築いた干拓地に暮らしてきた。今度は自分たちが元に戻して、次世代に託す番だ。土地は一代限りでなく、何百年と継承される社会の礎でもある。
今日植えた苗木が大木に成長するのを見届けることはできなくとも、今日の努力は常しえに故郷を支え、誇るべき歴史として語り継がれるだろう。

海洋小説『曙光』MORGENROOD(上巻)



Tomoko Ishida
OTHER SNAPS