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完全主義のホンネ

by 阿月まり

「君も完全主義だな。プラットフォームには今日来たばかり。接続ミッションはさっき聞いたばかり。それで自信満々にやれる人間がいたら、そいつは優秀じゃなくて、ただの無知だ。君は確かな知識と技術があるから、海中作業の危険性が理解できるんじゃないか。誰も明日から完璧に操作するなど期待してない。でも、君は自分が許せないタイプなんだな。世間ではそういうのを『完全主義』って言うんだよ」

「完全を目指しているつもりはない」

「だが、自分の弱さや欠点が許せないだろう。今日からでも完璧に操作できなければ、自分は駄目だと思い込む。理事長に突っ掛かるのも、本当は怖いからだ。でも、自分で認めたくないから、理事長の対応が悪いと言い張ってる。まあ、事前に十分説明しなかったのも本当だろうがね」

「……」

「怖いなら怖い、出来ないなら出来ないでいいじゃないか。さっきも話したように、僕らにはオール無人機という選択肢もある。これから六週間、全力を尽くして、君がどうしても無理と判断するなら、それでいいんだよ。完全主義も上手に生かせば、人より優れた仕事が成し遂げられる。良い風に考えれば、それだけ向上心があって、努力家ということだからね。とりあえず中に入ってみないか。物を見れば、君も納得するはずだ」

海洋小説『曙光』MORGENROOD(上巻)


阿月まり
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